TECH-M JOURNAL

ジャーナル

Vol.2
column.01 / TECH-M STRETCH

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“ストレッチ”についてあらためて考えてみました。(前編)

 いまや当店の一大看板プログラムとなりつつある“ストレッチ”ですが、 じつは学生時代の経験が出発点だったりします。 莫大な借金とひきかえに獲得したBMWを、 毎晩のように峠道に連れ出しては自分好みに調律することを習慣としていたときのこと。 BMWの素性良さは誰もが知るところ、 あとはどれだけ思い描く理想のライン取りを具現するか、 要するには足廻りのセッティングにとことんハマっていたわけです。

 BMWの足廻りはフトコロが深く許容量が大きいんですが、 コーナリング時にはそれがアダとなってロール量が多くなりすぎる傾向があるんですね。 せっかくの人馬一体感を阻害するその不快なロールを抑えるべく、 減衰力調整機能付きのコイルオーバーキットを装着して調整していくのですが、 求めるレベルには達してくれない。 もちろん、その時点でスタビライザーへの換装も考えたのですが、 普段使いしている手前もあり、 極端に乗り心地を制限する強化策にはあまり気乗りしませんでした。

 そんな試行錯誤を繰り返しているときに転機が訪れました。 「全日本学生フォーミュラ大会」への参戦です。 パイプフレームをはじめ、学生のみですべてをイチから設計・製作・完成させたマシンを他大学と競い合うことで、 ものづくりの総合力を高め、自動車技術ならびに産業の発展・振興に資する人材を育成する、 という趣旨のもとで開催されている大会なのですが、 この一大イベントにエントリーするべく仲間内で学生版レーシングチームを立ち上げたわけです。

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 その際、自分の得意分野ごとに大きく3班に分かれて開発を行うこととなり、 エンジン班、ボディ班、そして足廻り班が生まれました。 参加メンバーはみなBMWに乗っていること、足廻りの調律に血道を上げていることを知っていて、 期待とともに足廻り班へ配属されることとなりました。 が、実際にはイチから作り上げていくことと、出来上がっているモノを調律することは大きく違っていたんですね。

 たとえば、フォーミュラマシンですので基本的に車体は剥き出し。 つまりスペースは無限にあるわけですが、 当然ながら各班が好きな場所に好き放題に機械を設置することは出来ません。 またスペースがあるからといって部品をシェイプアップせずにマウントするのも御法度。 足廻りづくり以上に機械の設置場所や方法を探る時間が意外なほど多かったことを覚えています。

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 ただ、その過程において痛感させられたことがありました。 クルマとはトータルバランスこそが絶対に必要であり、 足廻りのみならずあらゆるパーツがサスペンションとして機能しているということです。 ショックアブソーバーとサスペンションを開発することが足廻り班のすべてではなく、 エンジンやシャーシ(パイプフレーム)を含めたマシンを構成するあらゆる部位のトータルバランスを測りつつサスペンションを詰めていかないとダメ。

 足廻りという懸架装置以外のサスペンションをいかに計算してバランスを採っていくべきか。 タイヤ、ホイール、ボディ、シートさえもサスペンション機能をもっていたわけで、 それら数え切れない緩衝パーツを安全かつ完璧に働かせてこそハイスピード走行が、 ひいては全日本学生フォーミュラ大会で上位に食い込むことが出来るのです。


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